[ヒットのタネ]カーネーション 4色詰め合わせ 小売り視点に定評 福岡・JAにじ
「にじセレクト」は、1色当たり25本を4束詰めた、同部会独自の規格だ。スプレイは2種類あり、「にじセレクト1」はピンクの濃淡各1色と、オレンジ、黄色の組み合わせが多い。「にじセレクト2」は、ピンクのうち1色を複色品種とし、スタンダードも4色詰めをする。
色のかぶり配慮
黄、緑色は品ぞろえに必要だが需要が少ないため、「1」と「2」を1ケースずつ買う客向けに、「1」の4色目が黄色なら「2」には緑色を入れる工夫をする。小売店の視点で色を選ぶことが伝わるよう、「レインボーミックス」という規格名を2021年度から「にじセレクト」に変えた。
4色目を緑色に、といった色指定の注文は「母の日」に多い。繁忙を極める時期だが、同部会は応える。JA園芸指導販売課花担当の上村享さん(31)は「小回りが利いて信頼できる産地をアピールすることで、固定客がつく」と話す。
セレクトシリーズの出荷量は同部会の日量の1割ほどで、通常品より2割ほど高く取引される。単価を底上げし、お試し買いで品質に納得した客が通常の1色100本入りを買うきっかけにもなるとみる。
同部会の21年度(21年10月~22年5月)の出荷は150万本を予定。部会の代名詞的品種「ウエストダイヤモンド」は、上品なピンク色で小売りの評価が高い。部会長の倉富和茂さん(60)は「小売りに求められる品種を作るのが部会の信条だ」と胸を張る。
横浜市の生花店「成田花園」の新井真幸社長は、にじセレクト1と2を交互に、週2回ほど継続的に仕入れる。「産地側で、花の色がかぶらないように調整しているので安心して買える」と評価する。東京都中央卸売市場の花き卸・大田花きは「小売りのニーズに合わせ規格化された点に価値がある」とみる。
国産ニーズ上昇
カーネーションの生産は減少傾向だ。日農平均価格の対象となる各地区大手7卸のカーネーション類の21年の販売量は5580万本で、11年比で3割減。21年の平均価格は1本55円で11年比で2割高だ。国内流通の6割が輸入品で、22年は新型コロナウイルス禍とロシアのウクライナ侵攻により輸入が減少、不安定化している。国産ニーズが高まる中、安定生産が鍵になる。
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