暖かい空気が流れ込んだ影響で日本列島は連日、広い範囲で4、5月並みまで気温が上昇し、季節外れの暖かさが続いている。19日は初夏の陽気を感じさせる地域もあり、北海道や東北などの216地点で2月の最高気温を更新するなど記録的な“暑さ”となった。ただ、気象庁によると、来週から西日本を中心に10年に1度レベルの低温になる見通しで、急激な振れ幅の大きい寒暖の差に注意が必要だ。農家や産地は暖冬傾向に頭を悩ます。
イチゴ、軟化早く注意喚起 山口
JAによると、一番果は秋以降の高温で花芽がつかないなどで収量が低下。中盤以降の二番果や三番果は暖冬が影響し、春先のピークを前に、1週間ほど生育が前進している。
同日に開いた目合わせ会では、規格の確認や出荷までの予冷、早期収穫を呼びかけた。同統括本部東部営農センターは「今年は暖冬の影響でイチゴが柔らかくなるのが早い。生産者はハウス内の温度管理などイチゴの品質管理に神経をとがらせている」(指導推進課)と説明する。
タマネギ、発芽不ぞろい心配 北海道
津別町でタマネギなどを約13ヘクタールで栽培する矢作芳信さん(67)は「冬場の気温が高いと温度管理が大変。タマネギの発芽が不ぞろいにならないか心配だ」と懸念しながら、作業を進める。
一方、20日以降は寒気が入り込み、気温は急激に下がる予報で、産地は極端な気温の上下に作柄が翻弄(ほんろう)されないか気をもむ。
JAつべつの有岡敏也MRマネージャーは「雪解けが早ければ植え付けなど農作業が早くなる。ただ、今後寒くなると作物にいろいろな障害が起きてくる」と強調。さらに「雪が急速に減れば春先の水確保が不安」と頭を悩ましている。
梨、出荷への影響懸念 千葉
開花期は例年3月下旬から2週間ほどだが、10日間程度早まることも想定され「授粉作業に追われて花粉の採取に手が回らなくなる可能性もある」とする。アルバイトを例年の倍に増やして作業の両立を図るが「火傷病で中国産花粉が使えない中、栽培品種を絞って対応する農家も出るのではないか」とみる。
管内のJAいちかわは「早めに剪定(せんてい)して作業がなるべく重ならないようにする。求人の支援もしているので気軽に相談してほしい」(市川経済センター)と呼びかける。
一気に低温 寒暖差注意
気象庁によると、偏西風が北に流れやすくなっていたり、2月に入り高気圧に日本列島が覆われたりして、広い範囲で気温が高い状況が続いている。
全国的に今冬は暖冬傾向だが、気温の変動が大きいのも特徴だという。19日までの高温傾向や強風、雨で雪解けが進み、雪崩や屋根からの落雪にも注意が必要だ。
季節外れの高温の後に気温が一気に急降下する恐れがある。気象庁は19日、近畿、中国、四国、九州と沖縄に低温に関する早期天候情報を出した。沖縄では26日から、その他の西日本は27日から気温が平年に比べてかなり低くなる見通しだ。上空に強い寒気が居座るなどが理由という。
同庁は「暖冬ベースで推移し、生育が前進している中、一気に低温になると品質や生育に影響する恐れがあり、農作物の管理に注意してほしい」と呼びかけている。