JAは2013年、生産者10人で加工用野菜部会を発足させた。栽培技術の向上と産地の育成が目的。総菜や弁当など調理済み食品を自宅で食べる中食の定着や、加工用野菜ニーズの高まりが背景にあった。
加工用野菜の栽培に取り組むメリットには、①産地と取引企業が長期契約を結ぶため、販売価格が一定で経営が安定しやすい②市場出荷に比べて実需者の決めた規格は幅が広く、出荷ロスを軽減できる③出荷を段ボール箱ではなく、鉄製コンテナで行うことで梱包(こんぽう)費を大幅に削減できる――などの点がある。
JAは新規でも取り組みやすいよう、栽培マニュアルを作成。営農指導員が農家との話で得た課題や疑問などはJA子会社の農地で実証を行い、そこで得られた成果は農家にフィードバックしている。また、1カ月先の需要量に対する農家ごとの出荷割り当てをつくり、部会と共有する。
これらのきめ細かい活動もあり、現在の部会員は、約50人に増加。加工用ハクサイ・カボチャ合わせて18・5ヘクタールで、約850トンの出荷量を誇る部会へと成長した。
同部会を担当するJA営農指導員の谷口昌志さんは「Z─GISを活用し、生産者が畑に抱える出荷可能な在庫量を把握できたことが有利販売につながった。生産者の協力が何よりも大きかった」と振り返る。
今後のスマート農業技術については「Z─GISを他の品目にも水平展開し、活用していきたい。今後も、さまざまな活用事例を参考に、生産部会に適した先進的なシステムを取り入れ、生産部会の生産性向上に努めていきたい」と話す。