十勝管内清水町の農業生産法人「フルタイムファーム」で、脱サラして農業に飛び込んだ夫妻らが、農薬や化学肥料を使わないアスパラガス作りに打ち込んでいる。昨年販売にこぎつけ、今年は「技術や知識を磨いて、出荷量を増やしたい」と意気込んでいる。
同社は宅配ロッカーなどを手がけるフルタイムシステム(本社=東京)の子会社。農家から農地を借り2007年に会社を設立、08年に農業生産法人として町の認可を受け、北海道有機農業研究協議会から特別栽培認証も受けている。
アスパラガスは3棟合わせて23アールの無加温ハウスや1.9ヘクタールの露地栽培で生産。農作業は主に市川朗さん(40)と福子さん(41)夫妻が担う。先に神奈川県出身でサラリーマンだった朗さんが、農業にかかわる仕事を求め道内に移住。続いて千葉県出身で舞台俳優だった福子さんも来道し07年に結婚。2人で勤めている。朗さんは「食への興味が高じて、農業にいきついた」という。
同社は農薬と化学肥料は使わず、土づくりにぼかし堆肥(たいひ)や炭を取り入れて「株に無理をさせず健康なアスパラガスを収穫する」(福子さん)ことをモットーに栽培。冬場もハウス内の土を炎で焼いて消毒し、害虫を探して手で取り除くなど地道な作業に打ち込む。
ハウスと露地栽培で4〜8月に出荷。除草や害虫駆除に苦戦しながら、ハウス栽培の10アール収を08年の400キロから昨年、740キロまで伸ばした。昨年4月にネット販売を始めたところ、口コミで評判が広がり東京や京都の有名料理店からの注文も舞い込むようになった。
朗さんは「やっと先を見越して農作業ができるようになってきた。10アール1トンを超える収量を目標にしたい」、福子さんは「生産現場の魅力を発信し、農業をイメージアップしたい」と、春の農作業に向けて思いを新たにしている。
「何かを作る仕事をしたかった」という元レントゲン技師の星川和輝さん(40)もこの春、農家での研修を終えて加わる方向だ。農場を統括する夏川憲彦さん(62)は「早く経営体として一本立ちし、地域農業に役立ちたい」と話す。












