長崎県は2010年度から県特産イチゴの産地の底上げに向けて「いちご農家収量向上計画」に取り組む。JA営農指導員と県内の野菜担当普及指導員で支援チームを結成し、10年度はイチゴ生産者の約1割を対象に収量で伸び悩む農家へ重点的に指導。さらに改善事例をまとめ、イチゴ農家の経営改善マニュアルづくりも視野に入れる。
県農産園芸課は「新規で産地拡大は難しい。まずは既存農家がイチゴでもうかる体制を整えたい」と説明。既存の指導体制を見直し、県内6JAの営農指導員と県の普及指導員がペアで「いちご収量向上支援チーム」を30チーム結成。10年度は県内23のイチゴ生産部会員約1100戸のうち、約100戸をめどに収量が低い農家を選び、重点的に支援して収量と品質向上を目指す。
県産イチゴの作付面積は約270ヘクタール。8割を占める主力品種「さちのか」の10アール当たりの県平均収量は3.5トン。今後は新品種「こいのか」の導入を進める一方で、支援農家には品質、収量向上で平均を上回る生産で農業が続けられる経営力を付ける。
県はJAと協力して炭そ病など病害対策に雨よけや高設育苗施設の導入、ウイルスフリー株の供給の支援などで産地強化を図っている。県農産園芸課は「新事業でなく、従来のハード面支援に合わせ、指導体制を再構築してソフトの支援を充実させたい」と話す。
支援チームの対象は収量が低い農家のほか、ニーズがあれば「もう一歩で篤農家になれる農家も支援する」(県農産園芸課)。支援チームの結成に向けて指導員のレベル向上の研修会を計画。経営改善の成功例をまとめてマニュアル化して県全体で産地力強化につなげていく。
愛媛県のJAえひめ中央が東温営農支援センターで実施しているイチゴの直売が、「品質が良くスーパーより安い」と消費者に好評だ。直売は5月の連休明けまで行う予定。
同JAでは果物全般の販売状況が厳しい中、多様な売り方でイチゴの消費拡大を目指す。直売はその一環だ。直売は東温市田窪の同センター野菜集荷場で、月・水・木・金曜日の午前9時から3時間行っている。地方発送もする。
当日に生産者から出荷されたイチゴを、その時期のスーパーの小売価格の8割程度で販売。近隣住民や通りがかりに立ち寄る人などの利用で1日平均200パック、金曜日には300パック程度売れる。よく買いに来るという市内の女性は「新鮮で品質も良いのでお使い物にしたり、遠くに住む子どもに送っている」と話す。
「市場出荷する品質の良い物を販売しているので利用客に好評だ。手応えを感じている」とJA担当者は言う。
岡山県新見市の「ふるさと味工房 哲多すずらん食品加工」が、地域の農産物をカレーや丼などレトルト食品に加工して地産地消を広めている。手軽に食べられるレトルト食品で、地域の味を単身者ら幅広い世代に伝える。全国的に注目を高めており、地域活性化にも貢献する。
同社は「地域を生かす資源を活(い)かす」をテーマに、レトルト食品の開発に着手。地元の黒毛和牛のブランド「千屋牛」を使用した和牛カレーや千屋牛ラーメン、和牛丼や岡山県産の白桃とブドウ「ピオーネ」をブレンドした「白桃ピオーネカレー」など数多くの商品を手掛ける。
「千屋牛」や桃、「ピオーネ」は贈答用などで重宝される。同社はこれら高級品を多くの人に味わってほしいと、手ごろな価格で気軽に食べられるよう加工する。ユニークさと食味の良さが話題になり、最近は全国から注文がある。
同社の井上知彦社長は「地域の農産物を付加価値を高めて販売し、食卓で多くの人に喜んでもらいたい」とPRする。
【いしかわ】JA小松市の「JAあぐり」産直部会長で農水省の「地産地消の仕事人」である稲葉一男さんが5日、小松市での第31回能美小松地区生活研究グループ連絡協議会総会後の研修会で講演した。消費不況で売り上げが鈍ってきている「JAあぐり」について、「安全、安心、新鮮という直売所の強みを生かしてはね返さねばならない」と産直農家を励ました。
JA全農いしかわによると、前年度JA産直部門で全国第2位だった「JAあぐり」の先月末での売上高は対前年同月比2%増の8億400万円。JAグリーンはくいを除く県内他店の18〜6%増に比べて伸びが鈍くなっている。
稲葉さんは「昨年10〜12月と初めて前年同月比でマイナスになった。来客数は減少していないが買い物単価が下がっており、原因はデフレ景気で消費者に低価格志向が定着し、中国のギョーザ事件で起きた警戒感も薄れて安い輸入品が入ってくるようになったため」と説明した。
これに対し直売所では青果類に生産履歴を付け、年間検査料を支払って消費者に安全安心宣言をし、新鮮な旬の物を提供しており「この良い点に取り組んでいる限り消費者は必ず来てくれる」とし、「これからの直売所は女性が支えないと運営できない」と強調した。
今後直売所間やスーパーとの競走も激化することから、そのためにも「朝採りや消費者の好む品種栽培の努力」を直売生産者にも求めた。
これまで農家やJAが廃棄してきた柿の摘果や規格外果を原料にして、短期間で柿渋(柿タンニン)を製造できる加工場が、奈良県五條市に完成し、8日に公開された。奈良県五條市の菓子メーカー「石井物産」が国の農商工連携事業を活用して作った。同社では、原料を年間500トンほど産地から買い上げたい考え。
伝統的な製法だと、果実から柿渋を抽出するのに3年ほどかかるが、奈良県農業総合センター果樹振興センターが、発酵や熟成が不要な新たな製法を開発。抽出期間を2週間に縮めた。石井物産は、この製法で柿渋を加工できる工場を完成させた。
奈良県で生産される柿は、年間2万8000トン。このうち半分が柿渋の原料となる渋柿で、品種は「刀根早生」「平核無」だ。農家は摘果作業の際、実3個のうち2個の割合で摘み取り、そのまま廃棄していたが、石井物産が買い取る仕組みを確立すれば「農家の貴重な現金収入になる」とJAならけんは期待する。
農家やJAからの原料の買い取り価格は1キロ当たり約80〜150円。JAの選果場で脱渋した摘果や規格外果を、同社の加工場で粉砕、水洗、加熱するなどし、柿タンニンを抽出する。
柿渋の加工場は4月から稼働し、製品の試験販売も開始する。染料、材木塗料、靴下の抗菌剤などの用途を想定しており、県内の業者との協議も進めている。同社の石井光洋社長は「できるだけ多くの柿を原料として使い、地域農業を活気付けたい」と話す。







