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論説
明日の直売所/食の伝承と創作を担え
掲載日:2010-3-7 12:57:00

 「ご当地グルメ後押し 開発・PRに半額補助」(本紙2月23日付)という記事を読まれただろうか。農水省は来年度事業で、地域の郷土料理や創作料理を「知的財産」と評価し、商標や意匠などの知的財産権取得を支援する。食育や特産品の料理研究に携わるJA女性部や女性グループを勇気付ける事業といえる。また、地産地消の拠点としての地位を確立する農産物直売所は、伝統料理の伝承、加工や食育にも取り組み始めている。こうした活動が「知的財産の継承」であることを自覚し、直売所の将来像を描きたい。

 知的財産は発明や創作による創造的活動の成果である。民主党政権は国家戦略として「知的財産立国」を目指すとしている。来年度から始まる新たな総合戦略で、農水省は植物新品種の保護体制の強化、篤農家の技術継承などの目玉を掲げた。この一環として、伝統料理の掘り起こしや地元食材を使った創作料理の開発を促す。

 日本食は健康や安全、高品質が受け、世界中で人気が高まっている。豊かな農林水産物を使い、伝統料理を基礎とする日本食は、固有の文化財であり、知的財産である。民主党政権が知的財産の保護や活用に向けた国家戦略の中に、郷土料理や創作料理を位置付ける宣言をした意味は大きい。さらに「農業の6次産業化」を戸別所得補償制度と並ぶ農政の柱に据え、推進する。6次産業化は、素材となる農産物生産に加え加工、流通・販売にも農家がかかわることで収入増、農業の活性化を目指すものだ。この流れをしっかり受け止めたい。

 食を知的財産と位置付ける国家戦略は、直売所にとっても「食の伝承・創作拠点」を目指す好機だ。下地は確かにある。直売所は、新鮮で安心できる伝統野菜や新しい特産品が並び、地域によってはスーパーを上回る購買場所となっている。売り場には、創意工夫を凝らしたPOP(販売時点広告)が登場し、試食販売をするところも出始めた。

 直売所に出荷する会員女性たちは素材を生産するだけでなく、調理・加工面でも業師ぞろいだ。伝統料理に目を向けたり、創作料理に取り組んだりするグループも数多い。地元の子どもたちや消費者向けに講習会を開く活動も広がり、人材や技は多彩だ。レストランを併設する直売所も増え、地場産素材を使った伝統料理や創作料理を出す例も出てきた。直売所は知的財産の宝庫である。

 直売所はこれから本格的に競争の時代を迎える。日本料理を知的財産と評価する国家戦略を踏まえ、足元の素材を掘り起こし、将来像を描いてほしい。まず、地域の直売所で扱う素材で伝統料理や創作料理を作ってもらいたい。「新鮮な農産物だけでなく、調理法も分かるし、味わうこともできる」。こんな評価が定着するのを期待したい。

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