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論説
新しい基本計画/農業・農村の将来像示せ
掲載日:2010-3-11 11:43:00

 新しい食料・農業・農村基本計画の策定が大詰めを迎えた。農水省は農林水産政策会議に計画の素案を示して、目標とする食料自給率(カロリーベース)を50%とし、2011年度からの戸別所得補償制度の本格導入も明記した。自給率は主要品目ごとの数値目標も示した。しかし、10年後にどのように自給率を上げるのか工程が不明で、農家所得の目標水準も示していない。担い手が確実に育ち、地域が再生する農業、農村の将来像(ビジョン)を明示してもらいたい。

 食料自給率目標の50%は、民主党が政策集で掲げていた数値と同じで、現行計画を5ポイント上回る。世界の食料需給が逼迫(ひっぱく)の度合いを長期的に深める中で、50%という目標数値は国民の理解が得られる妥当なものといえよう。問題は、これまで容易に上げられなかった自給率をどのように向上させるのか、その道筋を示すことである。

 自給率が向上するかどうかは主に、担い手、農地面積、耕地利用率の3つが裏付ける。数値目標を明確にして、それを達成するための農業構造や農家の経営展望(営農類型別の収入)、目指すべき農業の将来像を議論しなければ、実現可能な計画は煮詰まらない。

 15年を目標とする現行基本計画は、効率的かつ安定的な家族農業経営を33万〜37万と見込んでいるが、これを目指す認定農業者は24万6000経営体(09年)にとどまる。民主党政権は最近になって、家族農業や法人、集落営農など多様な農業経営体の育成をうたった。その方向は間違っていないが、それぞれの経営体が、その地域で農業を継承できる収入がなければ、担い手は育たない。消費不況や農産物価格の低迷が続く中で、どのように多様な農業経営体を育てていくのか明らかにすべきだ。そのためには営農類型別の所得目標水準を示した計画にする必要がある。

 現在の耕地面積は460万ヘクタール(09年)、耕地利用率は92%(08年)だ。財政が厳しく農地開発は難しい。農地法を昨年改正し転用を厳格化したが、利用率向上と担い手の対策は十分に見えていない。一昨年12月に同省は、農地面積462万ヘクタール、耕地利用率110%という自給率50%のイメージを発表した。面積、利用率ともにこれを割っている。水田裏作で麦や野菜を作って利用率を高める必要がある。

 だが、利用率は低下傾向で100%以上の都道府県は、132%の佐賀を筆頭に福岡、宮崎の3県しかない。戸別所得補償制度と水田フル活用で自給率がどの程度向上するのか検証も必要である。

 赤松広隆農相は10年後の自給率50%だけでなく、20年後60%の目標も表明した。重要なのはその時の農業の姿だ。農業政策審議会企画部会が12日に素案を議論するが、農業の将来像が見える計画になるよう十分な審議を望みたい。

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