「JAらしさとは何か」と問われた時、地域社会に貢献する姿勢や取り組みを思い浮かべる人は多いと思う。JAの拠点となる地域の農家や住民から信頼されてこそ、初めて万全な事業展開が可能になることを考えれば、地域貢献の視点がJA事業の根底になければならないだろう。
JAが果たす地域貢献の役割の重要性は、昨年10月に開かれた第24回JA全国大会でも確認した。大会ではJAグループが目指すビジョンとして1.地域農業の振興と安全・安心な農畜産物の提供 2.安心して暮らせる豊かな地域社会の実現と地域への貢献 3.組合員加入の促進と組合員組織の活性化 4.競争力ある事業の展開と万全な経営の確立――を採択した。
そのうちの第2項では営農・生活両面の諸課題に取り組み、地域の活性化や豊かな地域社会の実現に貢献することを目標に掲げる。具体的な活動として挙げられた食農教育の展開、高齢者の生活支援、災害ボランティア活動などは、地域の信頼を得るためには欠かせない取り組みだ。
地域貢献は定義があいまいで、幅広い解釈が可能だ。ビジョンでも地域貢献に「資産管理事業」「新規活動の立ち上げ」などを含めた。他の具体的なビジョンに収めにくい項目を盛り込んだ印象がある。しかし検討過程で、資産管理事業には環境保全、新規活動には雇用創出の視点を入れるべきだ、などの議論があったという。資産管理では、耕作放棄地解消や食農教育を兼ねた市民農園の開設、農地を災害時の緊急避難場所に活用する防災農地登録の推進などの提起に結びついた。
大切なのは、たとえ採算性を求める事業計画でも、根底に地域貢献の視点をすえることだ。地域との結びつきに確信があれば、自信を持って事業を展開できるはずだ。地域貢献の考えは、JAの4つのビジョンを支える根っこであり、事業間の“かすがい”となるべきものだ。
JAグループはさっそく、大会で確認した地域貢献の視点を踏まえ、生活活動強化のための方針作成に乗り出した。5月下旬にJA全中が初会合を開いた「くらしの活動強化推進委員会」は、JAが取り組むべき生活活動の6テーマを打ち出した。そこには高齢者生活支援、食農教育という従来の活動に加え、新たに環境保全や子育て支援、都市住民の田舎暮らしの支援活動も含めている。JAらしさを前
面に押し出す活動に育ててほしい。
一般企業でも、地域社会に貢献する姿勢が問われる時代になった。だが、その姿勢はJAがもともと備えているものだ。道路や公園、河川の清掃活動に定期的に取り組むJAもある。何の役に立つのかという議論の前に、JAの本来的なありようを考える参考事例にしたい。JAのファンが増えれば、他の事業や新事業の展開もしやすくなろう。










