国際的に穀物価格が高騰して下がる気配がない。農水省がまとめた「世界の穀物等の需給動向」によると、小麦、米、大豆などは消費量が生産量を上回り、世界穀物の期末在庫量は過去最低だった1970年も下回り、危険水域に突入している。異常気象が続いているだけに天候によって食料パニックの恐れもある。不測の事態に万全な備えを心がけるべきだ。
2007/08年度の穀物の生産量は全体で前年度より高水準で推移する見通しだが、消費量も増加していることから、需給がひっ迫している。今回の需給動向の特徴は、穀物など農産物をバイオマス燃料原料として大量に使うことが引き金になって需給バランスを崩し、価格の高騰を招いていることだ。
07/08年度のトウモロコシの生産量は米国で24%増だが、バイオエタノール原料用需要の急増で期末在庫率は13.3%と予測。国連食糧農業機関(FAO)の適正在庫水準15%を下回り、不安定になっている。価格は1ブッシェル(25.4キロ)当たり今年2月に前年に比べ倍の4ドルまで高騰。4月以降は下がってきたものの、9月に入っても3ドル台の高値で推移している。
特に米国では大豆はトウモロコシの作付け転換が急増し、2割減産の見込みだ。大豆は中国の旺盛な搾油用需要など世界全体でも需要が伸び続け、期末在庫量は急減。米国の期末在庫率6%と前年よりも6割の減少が見込まれている。価格は1ブッシェル(27.2キロ)当たり昨年5〜6ドル台で推移していたが、9月に入り9ドル台に乗った。
小麦も昨年は米国で春から夏にかけての干ばつ、オーストラリアの大干ばつで世界的に生産量が減少した。07/08年度も、カナダは小麦からバイオディーゼルの原料となるナタネなどへの作付け転換もあり生産量は前年度より14.9%減の見込み。米国の作付面積は増加したものの降雨による収穫作業の遅れや欧州の天候不順、中国の主産地での台風被害などから逼迫(ひっぱく)感に拍車がかかっている。期末在庫率は、これまで維持してきた20%台を割り18.5%の予測である。価格は18日のシカゴ相場でも1ブッシェル(27.2キロ)当たり8.69ドルと過去最高水準にある。
これまでは穀物需要量を左右する要因は人口増加、所得水準の向上などが中心であったが、今回はバイオマス燃料原料用が大きな変動要因となっている。大豆からトウモロコシ、小麦からナタネなどへ急激な作付け転換が需給を不安定にしている。
アジアなど著しい経済発展をしている地域では食料の需要が今後さらに増加する上に、急増する燃料原料と競合の深刻化が心配される。輸出国が米国、カナダ、オーストラリア、南米などに限られるだけに不安定性は高まろう。このため、国内生産力を高める対策を重視すべきだ。










