地方は都市との格差が広がり、疲弊の度合いを増しているが、地域経済を活性化させる切り札として、地域内の農業、商業、工業の各産業が連携した新事業創出が注目されている。いわゆる「農商工連携」だ。各業界や個々の企業、自営業者の努力だけで、地域経済全体の回復、発展は難しい。この連携には2008年度から多くの支援策が講じられる計画で、JAなど農業関係団体も積極的に加わり、地域経済振興の一翼を担ってほしい。
福田首相は、会期中の第169通常国会の施政方針演説で、製造業の技術や流通業のノウハウを活用して新しい商品・市場の開拓を目指す農商工連携の推進を打ち出した。農林水産業の活力を高めるため、担い手支援や農地政策改革の具体化などと並ぶ重要施策として認めるだけでなく、重要な地域経済の活性策と位置付けた。
これまでも地方では、各産業分野や個別企業の努力があった。地域ブランド確立に成功した農産物や加工品は数多い。商工業分野でも、安い輸入カバンに押されて衰退した逆境をはね返し、独自ブランド育成の道を着実に歩む兵庫県豊岡市の豊岡鞄(かばん)など事例は多い。しかし経済効果が地域全体に波及したとは言いがたい。そうしたこともあって、地域ぐるみの振興対策の必要性が求められた。
商工業側からの接近は、昨年に施行された中小企業地域資源活用促進法。農林水産物も含めた未利用の地域資源に注目し、それを生かして地元企業が商品開発を始めた。農商工連携の足場だ。この場に農業側からも商品化のアイデアなどを積極的に提案していきたい。
具体的な推進策は、農水省と経済産業省が共同で昨年末にまとめた。その中で地域全体の所得向上や雇用確保を図るため、地域産品の販売促進・新技術開発を支援する。商店街の空き店舗に農業者が直売所を設置したり、地域特産で新商品を共同開発するなどの連携だ。さらにイノベーション(技術革新)促進、地域ブランドなど知的財産の創造や活用などを進める。
国は推進態勢を着々と整えている。08年度予算に農水省と経済産業省が100億円ずつ計上。法制整備も進め、今国会で関連法案を提出し、08年度の施行を目指すほか、事業参加する企業などに税制上の優遇措置も行う計画だ。
農商工連携は民間主導の取り組みだ。この考え方の背景には、民間の自助努力を促す小泉政権からの施策方針がある。しかし連携のためのビジョン作りと推進には、行政の積極的なかかわりが欠かせない。地方自治体の財政は逼迫(ひっぱく)し、十分な予算的支援は難しいのが実情だ。それでも地域づくりの構想を示し、主導権を握って地元の産業界全体を束ね、必要な場面では最低限の財政支援を行うべきだ。









