世界中で窒素、リン、カリの価格が高騰している。原料や採掘・製造コストに直結する石油価格の上昇に加え、中国やインドなど開発途上国で肥料需要が拡大。肥料原料の国際需給が逼迫(ひっぱく)した。肥料小売価格に転嫁されることは確実で、施肥の見直しなど自衛策が必要だ。
肥料原料の値上がりぶりはすさまじい。例えば米国産リン安の輸出価格の近年の動きを見ると、2005年、06年には北米の春肥料の需要期にわずかに上昇したものの、07年には一気に5割も値上がりした上に、開発途上国や南米の需要増加分が上乗せされてさらに高騰。過去1年余りで3倍近くになった。リンに限らず、カリや窒素の値上がりも激しい。
価格暴騰の打撃は日本の農家に限らない。米国の農業メディア「ファーム・フューチャーズ」は、昨年11月からウェブサイトで「手が付けられなくなった肥料価格」と題した特集を掲載中だ。逼迫の背景や、寡占化を背景に肥料原料メーカーが歴史的な利益を手にしている実情などを解説している。同誌のマイク・ウイルソン編集長は「穀物価格は上昇しているが、肥料の値上がりが農家経営にとっては最大の頭痛の種だ」と言う。
その言葉を裏付ける興味深い農家アンケートの結果を、同サイトが載せている。昨年末、農家の88%が「窒素肥料の無水アンモニアの価格が1トン当たり550ドルを超えたら栽培の仕方や作物を見直す」と答えている。どんなに価格が上昇しても「変えない」という農家はわずか1.6%だ。すでに中西部の無水アンモニア価格は600ドル水準に達している。
同編集長によると、土壌分析を徹底しぎりぎりまで施肥量を減らしたり、肥料がたくさん必要なトウモロコシを減らしたりすることが見込まれている。漫然と同じ事を続けていては生き残ることができないという危機感があった。
7月からのJA新肥料年度では、肥料価格の大幅な値上がりは避けられないだろう。農家や農業団体、肥料メーカーが足並みをそろえ、銘柄の集約や配送の合理化、国内で集められる有機肥料の活用によって打撃の一部を吸収していく努力が求められている。
コスト削減のためには、できるだけ安い肥料を手当するほか、使用量そのものを減らすことも考えるべきだ。肥料価格高騰が見込まれる中で、「今までこうしていたから」という過去の体験は役立たない。春のシーズンを前に、もう一度自らの農業経営の姿を考え直したい。










