政府が7日決めた「21世紀新農政2008」は、いささか物足りない。食料自給率の目標を掲げた食料・農業・農村基本計画の推進策として、政府が年度初めに、農業政策の当面の基本方向となる「21世紀新農政」を示すのは、今回が3回目となる。食料自給率の向上をうたっているが、もうひとつ具体策が示されていない。
自給率向上の新たな柱として、米を「米粉としてパン、めん類などに活用する取り組みを本格化する」「飼料として活用するための課題に積極的に取り組む」との方針を示した。しかし、どう取り組むのか不明だ。いつまでにどのくらい増やすか工程も示されていない。
世界的な食料需給の逼迫(ひっぱく)で小麦やトウモロコシの価格が高騰し、代替として米の生産と利用の推進が重要になっている。だが販売価格が安く、生産コストを賄えない。生産調整の拡大分への緊急一時金など政府は支援策を用意したが、今年度一回限りだ。
加工用での米の需要拡大も課題である。ミニマムアクセス(最低輸入機会)米で、年20万〜30万トン供給しているが、まずこれを国産に置き換えるべきだ。これまで柱としてきた小麦と大豆も、輸入麦は価格が高騰し、大豆は高騰に加え、輸入では遺伝子組み換えしていない大豆の入手が難しくなっている。増産への道筋を示してほしかった。
2000年3月に最初の同基本計画を閣議決定してから8年たった。40%の自給率を10年度に45%にするとの目標を掲げたが、05年3月に決めた現行の計画は目標の期限を15年度に先送りした。にもかかわらず、自給率は06年度、39%に低下し目標達成が見通せない。政策の不十分さを物語っている。
農家は暮らしに必要な所得を稼ぐために農業をしている。自給率向上に役立つ作目を、経営判断して農家が選択できるよう条件を整えるのが政府の役割だ。また目標の期限があまり先では、切迫感が弱まる。短期的な目標を設け、米粉をこれだけ生産・利用すれば自給率はこれだけ上がる、そのための施策はこうで予算はこれだけかかる――というように、期限と取り組み内容、効果、そのための施策と予算をセットで示せば国民の理解も得やすいだろう。
政府は、09年度予算案や来年の通常国会に提出する法案づくりを通じて具体策を検討する。自給率向上のための施策には特別枠を設けるなど重点的な予算配分が必要だ。生産者が安心して取り組めるよう継続的な支援を、法律で裏付けることも求められる。「新農政08」の決定を受けて福田首相は関係閣僚に「一体となって確実な成果が得られるように取り組んでほしい」と指示した。世界的な食料危機の中で、自給率向上のかけ声だけではすまされなくなっている。










