日本が毎年、輸入している外国産米の輸入価格がじわりと上昇している。国際的な穀物高騰のうねりがついに米に波及した。外国産米購入には税金を使っており、高値調達は国民の負担増に直結する。無理をして輸入すれば、国際相場を一段と過熱させ、食料不足にあえぐ国々をさらに苦しめる恐れもある。市場が沈静化するまで外国産米の輸入は控えるのが妥当だ。
日本は、1993年のウルグアイ・ラウンド合意で米輸入が義務付けられた。現在、年間77万トンの外国産米を輸入している。これがミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米で、農水省が年に複数回入札し、輸入する商社を選んでいる。
その入札に異変が起きている。3月にあったMA米入札では、成約価格(輸入価格)が1トン8万円と前年の1・5倍にも跳ね上がった。4月下旬の入札では、6万トンの輸入を計画したところ、商社の参加が少なく成約ゼロ。外国産米輸入を始めた95年以来、初めての出来事だ。
異例の事態となった背景には相場の高騰がある。世界第2位、第3位の米輸出国のインドとベトナムが輸出を規制したことなどで、同省によると、国際相場の指標となっているタイ産価格は1月の1トン383ドルが、4月には同845ドルまで上昇した。世界の米生産量は4億トンほどあるが、貿易量は2000万〜3000万トンと多くない。
MA米を焦って調達するのは禁物だ。米菓やみそ、焼酎に使われるMA米だが、国内ではそもそも不人気で、在庫が152万トン(2007年10月)もある。1トンの保管に年間1万円かかるので、保管料だけでざっと150億円も使っている。これ以上、無駄なお金をかけてはいけない。
国際的な批判を呼ぶ可能性もある。無理をして買えば、相場に油を注ぎかねない。食料の高騰が世界の課題になった今、輸入国の食料調達を一層厳しくすることになる。
小麦や大豆など食料輸出を規制する動きが世界に広がっている。自由貿易は万能でないのだ。機能不全に陥り、自国民を優先する“食ナショナリズム”をむき出しにしている。
先月、農水省は、輸出国が食料輸出規制に走るのを防ぐ仕組みを、世界貿易機関(WTO)交渉で提起する考えを表明した。現行のWTO協定は、輸入国にさまざまな義務を課す一方、輸出国には甘い“不平等条約”とされてきた。食料危機の中で、輸出国と輸入国の権利、義務関係を公平でバランスがとれたものに改める良い機会である。
MA米の輸入は日本の義務になっているが、輸入が困難な場合は輸入義務量に届かなくても許されるとの解釈がある。世界の米貿易がストップする事態も今後ないとは言えない。そうした場合に日本が輸入義務を負う必要はない。冷静な対応が必要だ。










