働く人たちが出資して協同組合をつくり、仕事を起こし、地域社会に貢献していく。共に出資し、共に働き、共に経営する。市民や農民が主役の「協同労働」という働き方だ。いま福祉や食農分野を中心に増えている。こうした「協同労働の協同組合」は、労働者協同組合やワーカーズ協同組合と呼ばれ、欧州では市民権を得ているが、日本でもようやく法整備の機運が高まってきた。
超党派の国会議員連盟や日本労働者協同組合連合会は、今臨時国会で協同労働の法制化を強く働き掛けている。法制化によって、法人格を与え社会的に認知することが発展には欠かせない。解散・総選挙含みの政局で、立法化の見通しは不透明だが、早期に根拠法の制定を求めたい。規制緩和で雇用・労働環境は劣悪になり、市場原理で地域社会が破壊されていく今こそ、法制化を通じ、人と人、人と地域を結び、労働の意味と尊厳を取り戻すことが必要だ。
協同労働という形で働く人はすでに3万人を超し、年間事業規模は約300億円に広がっている。事業分野も、介護や子育て、環境やリサイクル、食品や地産地消ビジネスなど多彩だ。公共サービスが撤退する中で、官と民をつなぐ「新たな公共」の役割を果たすなど、その社会的意義は大きい。だが、法制度の裏付けがないため、社会的な信用が得にくく、事業の継続に苦労しているのが実態だ。現行で法人格をとる場合、特定非営利活動法人(NPO法人)は理念が近いが、寄付が中心で事業展開が難しい。企業組合法人なら出資はできるけれど株式会社を目指した営利組織で、理念が異なる。
協同労働の法制化にはたくさんの人の思いが詰まっている。各地の市民集会では、お年寄り、障害者、女性、農民、非正規労働者たちが、「商品」としての労働でなく、「共に支えあう社会」「誇りのある仕事」を取り戻そうと声を上げてきた。意見書を採択した地方議会は約180に上る。今年2月に発足した議員連盟には全党から約160人の国会議員が参加した。協同組合セクターも応援する。JA全中は「利潤追求の原理では社会問題を解決することが困難な時代。協同労働への期待は大きく法制化は必要だ。JAグループとして協力したい」という。
多様な働き方を促し、労働市場を広げることは、景気対策としても有効だ。暮らしや命にかかわる社会的セーフティーネット(安全網)の受け皿にもなる。
経営者と労働者という支配的な雇用関係から、出資・経営・労働が三位一体となったしなやかな働き方に転換することは、構造改革が招いた貧困と格差の拡大という負の連鎖を断ち切り、新しい働き方を提示することになる。市場経済が行き詰まりを見せる中、協同労働の法制化にぜひ道筋をつけてもらいたい。










