わたしは「カエル王国」の使者でございます。
王国はいま、崩壊の危機にひんしております。昨年の秋以降、関東地方で飼われていた中南米産の仲間がカエル・ツボカビ症という恐ろしい病気にかかってバタバタと倒れ、なおも拡大する恐れを抱えているからでございます。マスコミで大きく報道されたこともあり、日本のカエルたちも震えております。
ツボカビは、とても強い感染力を持つ真菌の一種です。致死率は90%を超すうえ、アジアでの公式確認は初めてのため、なおさら不安です。
念のために申し上げますが、ツボカビ症は、人間や魚にうつることはありませぬ。危ないのは、両生類と一部の淡水性のエビだけです。安心してケロ。
皮膚に異変が起きたり、ひっくり返すと、元に戻らなかったりするなど、病気にかかったカエルかどうかを判断することは可能です。しかし、研究・食用などで世界中に出回ったアフリカツメガエルやウシガエルなどは、無症状かそれに近く、そのために菌の拡散ペースが速まったともみられております。
いまのところ、日本の野生のカエルに飛び火したという報告は、ありませぬ。しかし問題は、人間がこの菌を知らず知らずのうちに運びだすかもしれないということです。病気で死んだカエルがいた水槽の水を流したり、死んだカエルを埋めたりするのは絶対にやめてケロ。ため池にでも混じれば、瞬く間に田んぼという田んぼに広がって、カエルたちを滅ぼすことになります。
「カエルなんて要らない」という声も聞きました。本当にいなくていいのですか。わたしたちは田んぼで、害虫のウンカやヨコバイを餌にしております。畑ではアブラムシや芋虫、毛虫をいただきます。その代わり、鳥や蛇に食べられる運命にあります。トキやコウノトリが再び大空に舞うためにも、カエルの協力が欠かせないでしょう。
生き物は、持ちつ持たれつの関係にあります。どこかでバランスを崩すと、生態系全体が大きく狂います。ピース(部品)が一つでも欠けると、ジグソーパズルが完成しないように、わたしたちの存在も重要であると信じております。
世界にいる両生類の3分の1がいま、絶滅の淵(ふち)に立たされています。その危機を加速させている原因の一つがツボカビ症だといわれます。
縄文時代の銅鐸(どうたく)には、わたしたちのご先祖さまが描かれました。それは人間が、害虫退治に役立つ生き物だと認めてくれたからではないでしょうか。農地や水や環境を大切にしようと動きだした農家なら、分かってくださると思います。わたしたちにもっと関心を持って、この恐ろしい菌が日本に広がらないように注意してケロ。









