食育の話をすると「食育って何?」と聞かれることが以前はよくあった。食育基本法が施行され、食育推進基本計画も策定されて、各地でさまざまな取り組みが進むせいか、最近では食育の話は、ごく普通に受け入れられるようになった。先日、東京で行われた、地域に根ざした食育コンクール2006の受賞団体による活動発表では、食育の活動が地域に根を下ろしている様子が、よりはっきりと感じられた。個性豊かな食育のネットワークが、さらに全国の各地域へ広がることを期待したい。
農水省が提唱し、地域に根ざした食育推進協議会と農山漁村文化協会が主催する同コンクールは、今回で6回目。今年は過去最高の334件の応募があり、そのうち34団体が表彰された。これまでの応募総数は1410事例にも上る。こうした事例を参考に、地域での活動を一層、盛り上げてほしい。
農林水産大臣賞を受賞した佐賀県鳥栖市の食ネット鳥栖は「スクラム組めばみんなHAPPY!!」を合言葉に、官民の垣根を越え、広い範囲の人々が連携、食育を進めている。メンバーは、食と健康にかかわる保健・福祉、農業などの分野はもちろん、大学、小中学校、保育園、直売所、飲食店などさまざま。自由にアイデアを出し合い、学校給食で地元の農産物を優先的に継続して利用する仕組みをつくったり、「まちの保健室」を開いたりして、地産地消や健康づくりにつなげている。
農水省消費・安全局長賞を受けた青森県鶴田町の菖蒲川小学校は、町が全国に先駆け制定した朝ごはん条例をもとに、学校全体で食育活動、食農学習に取り組んでいる。米やリンゴを栽培しながら、朝ごはんの大切さ、栄養バランスなどを学び、「早寝早起き朝ごはん」がセットになった生活改善を進めた。その結果、全員が朝ごはんを食べてくるようになるなどの教育効果を挙げている。
さらに、同賞を受けた滋賀県を中心としたスーパー・平和堂は「食育活動宣言」を行い、“1日に5皿以上の野菜と、200グラム以上の果物を食べよう”と呼びかけるファイブ・ア・デイ活動や、地産地消、伝統食文化の啓発、親子料理教室などを進めている。
各地で進められている食育の活動に共通しているのは、地域に住む人々によって個性豊かなネットワークがつくられていることだ。ネットワークに加わり、活動を積極的に進める人々は、新しく健全な日本の食文化をつくる先頭に立っていると言えよう。
社会全体では、不規則な食生活や栄養の偏りばかりでなく、食の安全を揺るがすような食品企業の不祥事が相次ぐなど問題が山積みだ。だからこそ、食の知識と判断力を身につける食育への期待は大きい。地域に根ざした身近な事例を参考に、自らの取り組みをさらに充実させてほしい。









