世界の穀物価格が高騰している。国際的な指標であるシカゴ相場は、小麦、大豆、トウモロコシ、米など高値圏にあり、特にトウモロコシは年明け1ブッシェル4ドル台の価格を付けた。日本が輸入する飼料価格も高騰、畜産農家を脅かしている。同様に、輸入大豆も値上がりして、食卓にもじわり影響が広がり始めている。
米国農務省が先月発表した2006/07年度の穀物全体の期末在庫率は15.5%しかなく、米国が大豆禁輸措置を発動した1973年当時とほぼ同じ危険水準だ。この穀物高騰は、主産国の一時的な減産によるものではなく、世界の需給バランスを崩すほど大きな構造変化に起因している。注目しなければならない変化は、次の3つである。
1つめは、気象災害が頻発しており、供給が極めて不安定になっていることだ。昨年、オーストラリアで発生した史上最悪の干ばつ被害で、小麦は前年度の57.1%減となった。地球温暖化を研究している「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」報告は、台風、ハリケーン、熱波など極端化する異常気象の発生を警告している。さらに、穀物の主要産地である米国、中国、インドでは水不足、土壌浸食が深刻で、価格高が容易に増産には結びつかず、在庫の減少となっている現実がある。
2つめは、世界最大の人口を抱え、高度成長を続ける中国の膨大な穀物需要(肉食化)が顕在化、世界市場を揺さぶりだした。搾油需要が旺盛な中国は大豆の消費が急増しており、「06/07年度の輸入量は前年比13%増加し、3200万トン(全世界の輸出量の45.2%)に達する」と、農水省や米国農務省は注視している。1国で大豆貿易量の4割以上を買い占める「爆食」国の出現は、世界市場のかく乱要因になっている。
3つめは、穀物からバイオエタノールを生産する非食用需要の増大である。折から、原油価格の高騰、中東依存度の削減、温暖化対策によるクリーンエネルギー推進等の事情も手伝って、トウモロコシを原料にしたエタノール生産が急増している。米国ではトウモロコシのエタノール仕向け量は、06/07年度に5460万トン(前年比34%増)に達するとの報告があり、07年度には輸出向けとの割合が逆転しそうだ。
穀物高騰の3大要因とも一過性ではない。世界最大の農産物輸出国・米国にとって穀物高騰は「輸出依存」型から「国内需要重視」型への転換を意味し、世界貿易機関(WTO)交渉で批判が強い国内農業支持予算を削減できるなど、「一石二鳥」となる可能性がある。世界の穀物貿易の潮目は変わったと、みなければならない。世界中から穀物を2600万トン(04年度)も買いあさっている日本は、市場開放ではなく、食料自給率の向上が喫緊の課題であることは論を待たない。










