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(4)復活/穀物管理を厳格化
今月5日から18日まで北京で開かれた中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)。温家宝首相は政府活動報告で、中国が直面する最大の課題としてインフレ対策を強調した。
この中で一般にはあまり注目されなかったが、中国の農業政策ウオッチャーの関心を集めた言葉がある。1995年に政府が導入した穀物責任政策の復活だ。「米袋政策」とも言われる。
温首相は「各省長は穀物袋に、各市長は野菜かごに責任を持たなくてはならない。穀物の輸出も厳密に管理する」と言い切った。これは政府が食料確保に全力を尽くすという宣言だ。
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中国は改革開放政策で食料分野の規制を次々に廃止したあおりで、90年代前半にインフレに見舞われた。そこで政府は、各省に十分な穀物の生産と在庫を確保して値上がりを抑えることを義務付けた。郡ごとに食料のバランスシートを作成、それを集計した上で、政府が輸出入を管理する。これが米袋政策の中身だ。
その後、穀物の増産で在庫の積み増しが進んだことや、世界貿易機関(WTO)への加盟もあり、中国は農産物貿易の拡大に軸足を移した。「この間、米袋政策が公式に廃止されたわけではない」(阮蔚・農中総研主任研究員)ものの、公の席で語られることはほとんどなかった。
米袋政策が復活する予兆はあった。政府は昨年末から今年初めにかけ、3度にわたって輸出税の導入など、矢継ぎ早に穀物輸出にブレーキをかけた。明らかに国内供給を優先する姿勢だ。穀物輸出に厳しい対応をするという温首相の発言は、決して言葉の遊びではなかった。
中国が穀物政策のかじを自給重視の方向に切ったのは、急激な経済発展の副作用として進むインフレの抑制に、食品の値上がり対策が欠かせないと判断したためだ。昨年の国内の消費者物価上昇率は5%だが、食料品に限れば12%になる。食料品主導型のインフレ傾向は、今年に入っても続いている。
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13億の人口を抱える中国が穀物自給を重視するのは、国家として当然の判断と言えよう。すでに政府はさまざまな優遇策を打ち出し、穀物の生産拡大に動きだしている。同国の増産は国際市場で深刻化する穀物逼迫(ひっぱく)を緩和する効果ももたらす。
2月にフィリピンで会った中国科学院農業政策研究センターの黄季焜主任は、「中国は大丈夫なのか」という日本農業新聞の取材に笑顔で答えた。
「中国は食料が値上がりしたら小麦でも、トウモロコシでも自分で作ることができる。しかし、日本はそれができない。大変なのは君の国だよ」
(第1部・食ナショナリズムは終わります)
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