17日の気温は揖斐川町の他、群馬県神流町と山梨県甲州市で34・8度、埼玉県秩父市34・6度、熊谷市34・5度。全国914観測点のうち299地点で30度を超え、37地点で5月の最高気温を更新した。
熊谷市では、野菜農家が熱中症に気を付けながら作業に励んでいた。16アールでニンジンを栽培する市野瀬斤三さん(84)は冷感タオルを首に巻き、水分補給しながらの収穫と葉切りの調製作業。「一気に気温が上がると作物より人間の方がこたえる」と話した。
19日以降は西日本を中心に雨模様となり、各地で暑さは和らぐ。
気象庁は1910年以降、全国13地点の猛暑日の年間平均日数を記録している。猛暑日は1990年代前半まで年1日前後と「極めて珍しい気象現象」で、2日以上の記録は1928、42、61、78、85年だけだった。
ところが、93~2022年の30年間の平均猛暑日数は、統計開始から3・5倍に増え、2018年以降は1地点平均が5日を超えた。全国160の観測地点のうち猛暑日を記録したのは、1990年代前半までは年30地点以下だったが、94年以降は30地点を超える毎年起きる気象現象となっている。「早期の熱中症対策が必要だ」。気候情報課の担当者がそう警告した。
福島市の名峰、吾妻小富士(標高1707メートル)の斜面には例年5月下旬ごろまで「種まきうさぎ」が残るが、今年は既に姿を消した。市街地から遠望すると、残雪がうさぎの形に見え、稲の種もみをまく雪解けの季節に現れることから名付けられた地域の風物だ。
市内で米を16ヘクタールで栽培する難波憲吾さん(76)は「今年はうさぎの消滅が早い」と語る。この日は午前中に育苗ハウス内の気温が30度を超え、今年初めて扇風機を回した。トラクターのエアコンも冷房に切り替え、熱中症に警戒する。「こんなに早い雪解けとは。田の水が不足しないか心配」と話した。
気象庁は17日、熱中症警戒アラートの発出を見送った。湿度が比較的低かったことなどが理由だ。一方、各地では熱中症による救急搬送が相次いだ。
福岡県久留米市で同日正午ごろ、市立田主丸中学校から「生徒が熱中症で体調不良を訴えている」と119番があった。市広域消防本部よると、午前中から運動場で体育祭の練習をしており、生徒7人を救急車とドクターヘリで病院に搬送した。全員回復に向かっている。同市では同日、最高気温が29度近くになっていた。
三重県の松阪地区広域消防組合には同日、熱中症とみられる90代から60代の男女3人をそれぞれ救急搬送。この地域では30度を超えていた。群馬県南牧村でも80代男性が畑で倒れているのが見つかり救急搬送された。
同庁は同日夕、沖縄・八重山地方を対象に、18日の熱中症警戒アラートを発出。今年初のアラートとなった。